仕上げない勇気|サンヨー食品 サッポロ一番 富士郎 豚骨醤油ラーメン

富士山に見立てて逆さに立てるという、
これ以上なく簡単明瞭な釣り針によって、
私の様な面白がりの中年男性を一本釣りだ。

「キャベツ大盛りニンニク豚骨醤油」

商品名の由来は 富士山+二郎 とのこと。
大変に興味深いネーミングセンス。
あのマシマシのヤサイを、
日本一の山になぞらえたというのか。
思わず起立しサンヨー食品本社の方角に敬礼。

「祝 世界文化遺産登録10周年」

10年前にも同名の商品を発売しており、
今回の商品はその復刻版らしい。
ニーズの所在は不明。

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熱湯を注いで5分。
ふえるわかめみたいに膨らむのかしらという
淡い期待を裏切る、わずかなキャベツ片。
鼻くそサイズのそぼろ肉に涙がぽろり。

別添の「仕上げの小袋」の透明な油を注ぐ。
箸で底からかき混ぜるも、
表面にキラキラの油膜が出来る。
二郎系のアブラはこういうのじゃないと思う。

まずはスープ。
カップに顔を近づければ、
強烈なニンニク臭が突き上げてくる。
ヘへ…、いいパンチ、持ってるじゃねえか。

口をつけて啜るとまず油が流れ込み、
舌をコーティングして味覚をシャットアウト。
ニンニク臭の油を飲んでいる感覚。
豚骨醤油は鳴りを潜め、私は眉をひそめる。

次に麺。
激しくうねり、ごわついている。
ただツルツルともモチモチともせず、
コシの弱いもそもそ食感に言葉を失う。

箸で持ち上げる時に麺が油膜で覆われ、
スープを絡めてくれない。
油をくぐらせた生茹で麺の、
薄い塩味の小麦の塊を咬み、牙を噛む。

さて、そのように、
あるいは直接口をつけて啜り、
あるいは麺で絡め取って、
油膜がすっかり無くなった頃、
ようやく豚骨醤油の味が顕現する。

富士郎お前、こんな味やったんかと、
じっと残り汁を見る。
ポークエキスが泣いている。
私は一体どうすれば良かったのか?

仕上げの小袋を入れたあと、
ブレンダーを突っ込んで撹拌するか、
先に油膜だけをすすって飲み干すか、

それか、仕上げないか。

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