



肌寒い季節になって、スーパーマーケットに並ぶ橙色のみかんを見れば、なんとなく手に取りたくなります。それは甘酸っぱいみかんを食べたいという欲求以上に、暖かいリビングに座ってみかんの皮を剥いて食べるという行為をしたいからです。皮は散らかり手もベタつく面倒な作業なのですが、無性にそれをしたい。私はこれを、人間の本能であるとともに、この時期もっとも手近に触れられる「趣」のひとつと解釈しています。
店には色々な種類のみかんが並んでいます。腕組みしながら売り場を3周し、分からないながらに色づきや大きさを確かめます。とりわけ鮮やかな橙色、立派と言えるサイズ感、みかんの房を太陽のようにあしらった粋なパッケージと、信頼できそうな秀島氏の顔写真に惹かれて「秀島みかん」を購入しました。
甘さは確かにありますが期待したほどではなく、ほんのり甘い程度でした。一方で、あふれ出す果汁のみずみずしさがスゴい。また、みかんの実を包む半透明の内袋(じょうのう膜)が薄くてやわらかい。普段ならこの薄皮を吐き出す5歳の息子がすんなり飲み込んだので驚きました。みかんの果実をムダなく味わえるのは素晴らしいことと思います。
甘さを打撃力、みずみずしさを守備力、食べやすさを走力に例えると、走攻守のバランスの取れた安定感は、往年のイチロー選手を思わせる完成度でした。
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