
ウイスキー界のニューワールド、台湾からやってきた怪物「カバラン(KAVALAN) ディスティラリー セレクト No.1」。高級ウイスキーブランド カバランの入門用、エントリーモデルとして知られているらしい。私は知らなかった。今回はこの戴き物の高級酒を流し込み、紐解いてみる。
亜熱帯気候を活かした「高速熟成」。スコッチの12年熟成をたった数年で追い越す驚異のスピードで、先達のウイスキーに匹敵する風味を引き出すというタイワニーズ・ウイスキー。それは単に暑い地域なら良いという訳ではない筈で、カバランならではの技術に裏打ちされているのだろう。
-- スポンサーリンク --
事実、その圧倒的で爆発的なフルーツ感。マンゴーやバナナなどの華やかな南国果実に、折り重なる芳醇なバニラ香。濃密な甘さ!甘い!!さらっと肚に流れ落ちる軽さを持ちながら、ベタつくような錯覚すら覚える。後口には余韻よりも甘露が残る。その不思議体験に少し戸惑う。良い酒には違いない。しかし、スモーキーでドライなジョニ黒こそ至高!と信じてベンチマークに据える私にとって、この「台湾旋風」は、いささかサービス精神が旺盛過ぎるとさえ感じられた。
例えるなら、ジョニ黒が会員制の老舗旅館とすると、カバランは至れり尽くせりの南国リゾートだ。到着した瞬間に首に花輪をかけられ、ウェルカムドリンクはマンゴー尽くし。夜には頼んでもいないのにバルコニー越しに花火が上がり、快活なスタッフが「お味はいかがですか!」と笑顔で寄ってくる。「いや、少し一人にしてくれないか」と言いたくなる。その「過剰さ」こそが、カバランというブランドが成り上がった戦略なのだろうが、スモーキー派には少々眩しすぎた。
結局のところ、ウイスキー選びは「スペック」ではなく「自分との相性」で決まる。甘い香りに包まれてリッチな気分にしっぽりと浸りたい夜があるなら、カバランは最高のご褒美になるだろう。私にそういう夜は無かった、それだけのこと。

-- スポンサーリンク --
