「完全メシ」という非常に力のあるワードに惹かれて手に取ったこちら、日清食品の “汁なし豚辛ラ王油そば”。ド派手なフタに何やら色々書いてあります。ひねくれ者の私は、食品のパッケージに書いてある文字が多いほど、言い知れぬ恐怖を感じます。
まず目に留まるキャッチコピー「栄養バランスを考えるのがめんどくさい人に!」なるほど、ところでカップ麺売り場を物色するような人のなかに、栄養バランスを考えるのがめんどくさくないと言う人はどれだけ居るだろうか。
「管理栄養士9割推奨」控えめに書かれた注釈によると「全国の医療機関に従事されている管理栄養士291名におけるアンケート調査/2022年2月質問:忙しい日の食事の選択肢の1つとして完全メシを活用して欲しいと思いますか?/ 91%が「はい」と回答」どうやらこの商品に限る話ではないらしい。
「これ1つで栄養とおいしさの完全バランス!」栄養とおいしさのバランスとは。なお、この商品で摂れる栄養素については公式サイトでいかにもパーフェクトな円グラフを披露しているが「エネルギー値あたりの充足率を数値化」などとよく分からない断り書きもあり、とにかくこの商品を食べれば1日に必要な栄養が足りるというものではないようだ。
ガンが治る水素水やブレーカーに貼る節電シールなんかを高額で買うおバカさんが一定割合存在するこの日本で、それらしいデータ付き、しかも天下の日清食品ブランドとあらばある程度は売りさばけるという算段だろう。あとは美味しければの話だ。
というところで実食。
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えげつない極彩色の袋をやぶいてタレ、粉、油を振りかけると、立ち昇ってきたのはこれまたえげつない豚骨臭。かなり刺激的で、作り物めいたシャブ漬け獣臭。ぶっちゃけクサい。まずはよく嗅いで鼻を慣らす。慣らす。慣れない。クサい。ずっとクサい。一体この強烈なにおいで何を誤魔化しているのかと疑いたくなるほどクサい。
しっかり硬めの平打麺はモソモソとした噛み心地。好き嫌いが分かれそうだが、私は嫌いではない。ただ麺を啜るたびに化学的な香りが口腔内を吹き抜け、気持ちが萎えていく。意外に塩気は控えめで、他の同系商品のように白飯のおかずになるものではない。
紙吹雪のようにこま切れのキャベツと豚肉は申し訳程度に麺と混ざり、栄養はいよいよ添加物頼みという印象。原材料表記の2/3以上を添加物が占めており、さもあらんと言った感じ。
つまるところおいしいのか?
おいしくないのか?
おいしくない。
あらゆる添加物で栄養素を補填した日清の「完全メシ」はサプリメントを粉砕してまぶしたドーピング油そばと言って差し支えないように思われる。
この味このにおいが好きという人ももちろんいるだろう。しかし私は、麺の上から半熟の目玉焼きをかぶせ、きざみのりをひとつまみ、そこへマヨネーズ、醤油、七味唐辛子を振りかけ、その上に山と盛り上げたパクチーにファブリーズを2振りしてからごみ箱に捨て、そして私も消えよう。
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