ざらついたショートニングを食パンの上へ厚めに塗ってトースターで焼く。次第に表面がふつふつと沸き、取り出すと引き締まるようにカリカリになってくる。歯を差し込むとその下はトロリと柔らかい。またさらにその下はそのままトーストである。当たり前だが、食パンがメロンパンに化けるわけではない。
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奥歯で噛むと砂糖のジャリジャリとクッキーのサクサクが心地良く鳴る。それはメロンパンの表面層を彷彿させた。それから果てしない甘さと、わざとらしい香りがする。嘘くさい。実に嘘くさいが、嘘ではない。なるほど、どれほど疑ってかかるアンチであっても、これはなんの味ですかと問われれば、メロンパンでしょうなと答えざるを得ず。そこに無理はなく偽りもない。消費者を手玉にとるような、実におもしろい商品だと感心した。
さて、これはあくまで普段の食パンがメロンパンぽくなる甘いクリームでしかなく、真にメロンパンが食べたければメロンパンを買えば良い話のはずだ。こんな商品は本来、1食、いや1口試してみれば十分な程度のものであろう。しかしどうだ、何か面白い商品を探してKALDIを訪れる購買客に対し、夢のような商品名で好奇心を掻き立て、買ったあとに常備する理屈をこねさせるだけのクオリティとその巧妙な戦略には、重ねて感嘆を禁じ得ない。
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