納得のおいしさ、腑に落ちない名前|洋麺屋ピエトロ 絶望スパゲティ

“絶望スパゲティ”という名前。「絶望している時でもペロリと食べられる程おいしい」が由来だそうだが、腑に落ちない。“絶望スパゲティ”と言うのに、食べて絶望するという訳ではなく、食べる者が、食べる前から、あらかじめ絶望しているという前提だという。なんじゃそらと叫ばずに箸を握れない。

食品を形容する場合、素材や産地、調理法など、少なくともその食品にまつわる何らかを示すものだろう。たとえば“釜揚げうどん”は、釜揚げしたうどんを食べる料理であって、食べる人間を釜揚げにしたりはしないし、“卵かけごはん”は、生卵をぶつけられたあとでもおいしい白ごはんという意味ではない。

何より「絶望パスタです」と出されて、それがどんなソースであれ、とにかくすごくおいしいからヨシ!ということならまだしも、当然のように「鰯のペペロンチーノ」だというからグリコである。わかっている。こまかいことはいい、解っているよ。しかし、しかしなのだ。

ひとしきり色々考えてから、ひとくちいただく。ひと言で表現するなら、香りの良いオイルソースパスタである。香草、香味野菜、オリーブ、にんにく、唐辛子。それら多様な風味・香味を、絶妙なバランスで取り合わせてある。絶妙スパゲティである。味のしみた鰯の切り身がオカズの役割を果たし、さらにパスタを摘まませる。

おいしい。レトルト食品らしからぬ高いクオリティに舌鼓を打つ。ぽんぽこ、ぽん。なあるほど〜、確かにこれなら絶望している時でもペロリと食べられそうだね!とでも言うと思ったか?おいしさは腹に落ちても、名前は腑に落ちないぞ。まあ強いて言えば、ぶつ切りにされた鰯の身には、ちょっと絶望を感じる。

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