
まず、旨みとは何か(ネットリ)。このソースには、実はトマト感はあまりありません。「海老クリームソース」と端折っても差し支えないほどの、酸味の淡さ。トマトはどこから来て、どこへ行ってしまったのか。もし、じっくり時間をかけ、何もかも忘れて、心からこれを味わったならば、あの赤い果実を感じられたかも知れない。リコピンを確かめられたかも知れない。しかし、いま嵐のような突風の最中を進むわれわれ日本国民に、果たしてそんな心のゆとりがあるのかどうか。私は、その問いに答えることができません。
だが一方で、甲殻類の旨みは強く感じることができた。ここで言う甲殻類とは何か(ネットリ)。それは、海老です。それも肝膵臓、いわゆる海老味噌ごと溶いたような際立つ芳香。原材料に「エビ頭」とあるのは、そのことを示唆している。常々申し上げておりますように、私は、とってつけたような海老の味が苦手です。そこへもって、このソースはどうか。端的に申し上げると、これはイケるやつ。丸ごと使った海老の、海老による、海老のための政治。海老と生クリームの連立与党。そのガバナンス体制こそが、このソースを巧みに成り立たせている点を、私は高く評したい。
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それに加えて、非常に濃密で麺にネットリと絡みつく粘りにも注目したい。油脂と水あめの絶妙なバランス。ブロンズ引き、テフロン引きを問わず、茹であげたパスタから滑り落ちない程度の粘度。限りなくゲルに近い、ゾル。これもまた、計算づくの産物に違いない。独りよがりになってはいけないけれど、かと言って消費者に媚び過ぎてもいけない。この商品を生み出した創味の担当者殿は、そういった考えを熟知されているのだろうと思います。
さて、これまで申し上げてきたようにハイクオリティなこの商品「ハコネーゼ 海老の旨みたっぷり濃厚トマトクリームソース」。これを絡めたパスタにも、足りないものがある。それは一体何か(ネットリ)。それすなわち、具。たとえば、イカやホタテなどの魚介、きのこやほうれん草を、ひと手間加えてみる。下味は最低限で良い。むしろそれで、ちょうど良い塩梅になる。私が思うに、完成度が高く味の濃いソースは、どうしても飽きやすい。だからこそ、そのまま麺に掛けるだけでは勿体無い、と、あえて意義を申し上げたい。どうせならもっと、もっと。一皿分のパスタソースが持つポテンシャルを、私は信じています。

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