摩訶不思議|コモ メロンパン

押し潰されたような、ひしゃげた形のメロンパンです。売り場に並ぶ同商品みな一様でしたから、端からこういうものか、ものすごい高所にある工場で生産されたものでしょう。袋を破って取り出しますと、思いの外ずっしりと重さを感じます。パンの表面は濡れたように水気をはらみ、袋に穴でも開いていて湿気たかと気になります。そして低反発マットを連想させる弾力。これは私の知るメロンパンとはまったく別物です。

濡れ煎餅のように脆く砕ける表面のビスケット層。その下におよそイメージした通りの熟成された小麦の層が現れます。ふかふかでも、カチカチでもなく、湿った新聞の束を裁断器で切るような、ザクリという歯触りがします。しっとりした生地なのに、噛んでもネッチョリとしないのが不思議に思われました。

ミルクの香りが優しく、砂糖とマーガリンの甘さが心地よく後を引きます。気の向くままにムシムシと齧り進めると、あっという間に無くなります。これが「パネトーネ種」と「元種製法」によるメロンパンなのかと感心しきりです。表面カリカリ、中フワフワのメロンパンのイメージを180度ひっくり返しながら、しかしこれは何パンかと問われればメロンパンと答えさせる、不思議な魅惑を有するメロンパン。賞味期限は脅威の1ヶ月超です。

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