土を舐めてなお誇れ|キリン 一番搾り やわらか仕立て

分かっていたことだろう
肩透かしを引かれることは
だがそれでもなお
魂の炎を上げて
命の限りを賭して
立ち合わねばならぬときが
突っ張らねばならぬことが
男にはあるというものよ

重厚なキリンクラシックラガーに親しみ
長年愛したキリンラガーでさえ
まるで腰の抜けた淡白に感じながら
さらに骨が抜けたように希薄な一番搾りの
まして“やわらか仕立て”と来れば
そりゃあ、そうだろう

かろやかでまろやか
飲みごたえ無しパンチ無し
四つに取り組む島もなし
風にひらめいたレースのカーテンが
やさしく半身を撫でるような
豪雨の予報に準備万端で出れば
ささめ雪が傘に模様を落とすような

はっけよい、のこった
さあ裸一貫全身全霊を賭けた突進
繰り出す渾身の張り手突き
刹那にとんと背を押され
腹に冷たい土の感触
そら、言わんこっちゃない
無様に這いつくばる土俵中央
なあに
観客は笑えど
天は笑いはしまい

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