原材料には記載されない風の産物|マクダフ蒸溜所 ザ・デヴェロン 12年

クセのある湿り。妙な奥行き。ざわつく味蕾。纏いつく靄(もや)。このシングルモルトウイスキーの不可思議な味わいを形容する、借り物のようなそれらの表現を想起させる主因が何なのか、私には何杯飲んでも判らなかった。まさか原材料にも製法にも記載されない「風」が、その味わいを決定づけているとは、思いもよらない。

ウイスキーは夜な夜な、ロック、ストレート、しばしばソーダやジュースも注いで親しんでいる。しかし、どのような飲み方をしても、このザ デヴェロンの気がかりなアイデンティティは泰然として揺るぎない。なかでもブドウジュースで割った時には、予想外の不協和音に思わず眉をひそめた。ウイスキーのフレーバーが果汁とカチ合ったのは初めての経験だ。

この特異な味わいの理由を調べるに、海辺の町にある蒸溜所で造られることから海風を受ける影響で、その味わいに潮気が染みるということらしい。潮気。言われてみればそうかなと感じるが、知識のフィルターを通さずには「変な感じ」とただ空転するばかり。スモーキーさと引き換えるように“しょっぱさ”を主張する、私にとっては少し上級者向けのウイスキーに思われた。

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